「コーナーの一部が増大」
してしまいました。"知ったか振りコーナー"が異常に長くなってしまった為他の部分が少々省略されております。悪しからず御了承ください。
クラブソーダ編
この夏の連日の猛暑に加え、当店ではコックさん一時不在の為、私が熱いストーブやオーブンの前に立って過ごしたこともあり、沢山の水分を摂る機会に恵まれました。当然冷たい(スティル)ウォーターやお茶でも事足りるわけですが、いわゆる無糖のスパークリングウォーターが、喉と心の渇きに非常に有効にキクという事実を発見致しました。
そんな訳で、Bar Higuchiの厨房でいろんなスパークリングウォーターをクビクビした結果、お気に入りは写真の3本。
サントリーの「ザ・プレミアムソーダ」(新発売)。今までにない素晴らしいバランス、350ml。
「TY NANT(ティナント)」の炭酸入りの方、鉱水。ウェールズ産のなめらかで清々しいテイスト。
イタリア産の「PARADISO」従来のイタリアした感じでないところが好印象。
Barではウイスキー(主にモルト)のチェイサーとしてお出ししたり、勿論ハイボールやジンフィズなどのカクテルに意外に多く使用するのですが、そのまま飲んでグッドなソーダ水のバリエーションが増えてきたことは大変歓迎すべきことと思います。皆さん、何かお気に入りのスパークリングウォーターをお持ちでしたら是非教えて戴きたいと存知ます。
抹茶アイス編
アイスクリーム好き、かつお茶好きなワタクシです。そうすると両者が手を組んだ抹茶アイスなるもの、これはどうかと申し上げると、「お茶はお茶、アイスはアイス」といったご意見もあろうかとは思いますが、ワタクシにとっては答えは大好き、となります。
思えば幼き頃より、唐人町商店街のお茶屋さんの前に設置されているグリーンティー提供機(?)を素通りできない人間でありました。ここ数年来、柚子や抹茶などの和ものアイスは大変人気があったように思われます。写真のように黒みつや小豆など、和ものは和ものと相性が良いのでしょう。いつしか流行りは過ぎるものですが、こういった和テイストのものはずっと定着していって欲しいものです。
思えば幼き頃より、唐人町商店街のお茶屋さんの前に設置されているグリーンティー提供機(?)を素通りできない人間でありました。ここ数年来、柚子や抹茶などの和ものアイスは大変人気があったように思われます。写真のように黒みつや小豆など、和ものは和ものと相性が良いのでしょう。いつしか流行りは過ぎるものですが、こういった和テイストのものはずっと定着していって欲しいものです。
〈長月編〉
【月 tuki】
今月は長月。ならば当然「お月見」「中秋(仲秋ではない)」の名月」であろうと文献を漁りだしたところ、そもそも月についてまずは明らかにすべきであろうと思い至りました。
ということで今回は「月」でございます。
地球に最も近い天体且つ地球のただ一つの衛星「月」。私達は現在当たり前に"つき"と呼んでいる馴染み深いこの天体は、古来様々な呼び方がありました。つく、つくよ、つきよみ、月輪、太陰、玉輪、月兎(げっと)、桂月(けいげつ)、ののさま、つきしろetc。
ある辞書には驚くべきことに37通りの呼称がのっています。
語源説としては、
①光彩が日に次ぐところからツギ(次)の義。
②毎月一度輝きがツキル(尽)ところから。
③ツク(次)の終止形名詞法。ツキツキ(次々)と続いてその形を転じ移す意。
④ツは丸い意、キは清らかの意。などなど。
その半径は1738km。質量は地球の約81分の1。大気は存在しません。
27、32日で自転しながら、約29、53日で地球を一周。このように自転と公転の周囲がほぼ同じといえるため、常に一定の半面だけを地球に向けていることになるわけです。太陽に対する位置の関係によって新月・上弦・満月・下弦の位相現象(満ち欠け)を生じます。その運行に基づいて太陰暦(自然歴)や太陰太陽暦などの暦が作られ、神話、伝説、詩歌などの素材ともされてきました。
27、32日で自転しながら、約29、53日で地球を一周。このように自転と公転の周期がほぼ同じといえるため、常に一定の半面だけを地球の週期がほぼ同じといえるため、常に一定の反面だけを地球に向けていることになるわけです。太陽に対する位置の関係によって新月・上弦・満月・下弦の位相現象(満ち欠け)を生じます。その運行に、基づいて太陰暦(自然暦)や太陰太陽暦などの暦が作られ、神話、伝説、詩歌などの素材ともされてきました。
古来より日本では「花鳥風月」「雪月花」などと、自然美を代表するものの一つとされ、特に秋の月を指して賞美されることが多いようです。
と、辞書的に月の事を述べるとこんな感じでしょうか。
ところで月は太古から空に浮かんでおりますが現代の私達の生活からはとてもかけ離れた事実があることを想像してみました。
中世以前、恐らくは江戸時代に入る頃までの庶民の生活では夜に灯火が使われることは少なく、そのうち行灯や蝉燭が使われるようになっても、その明るさは知れたものでした。そう、かつて文明の灯りがなきあった時代、月は夜の行動を左右する大事な「照明」であったのです。中世以前の庶民の生活を描いた絵画には夜の情景を描いたものがほとんどないそうで、当時の人々にとって月明かりの持つ意味は計り知れないものであったようです。
それを考えてみると、月の満ち欠けのそれぞれの形にそれぞれ美しい名称が付けられ定着してきたのも、すんなり納得できそうです(別注参照)。このように欠けてもまた満ちる位相現象のため、古来月は「復活と不死の象徴」とされ、人々はつきに畏敬の念を寄せてきました。また、稲作が普及する前(ずっと日本人は米を作ってきたような錯覚がありますが)、畑作中心の我が国では「月には水を支配する神が住む」と信じられていて、月が信仰の中心であったようです。そのうち稲作中心の社会になると、信仰の中心は太陽へと移ります。畑作が水を重視するのに対し、稲作は日照りを重視したためです。
ということで今回は「月」でございます。
地球に最も近い天体且つ地球のただ一つの衛星「月」。私達は現在当たり前に"つき"と呼んでいる馴染み深いこの天体は、古来様々な呼び方がありました。つく、つくよ、つきよみ、月輪、太陰、玉輪、月兎(げっと)、桂月(けいげつ)、ののさま、つきしろetc。
ある辞書には驚くべきことに37通りの呼称がのっています。
語源説としては、
①光彩が日に次ぐところからツギ(次)の義。
②毎月一度輝きがツキル(尽)ところから。
③ツク(次)の終止形名詞法。ツキツキ(次々)と続いてその形を転じ移す意。
④ツは丸い意、キは清らかの意。などなど。
その半径は1738km。質量は地球の約81分の1。大気は存在しません。
27、32日で自転しながら、約29、53日で地球を一周。このように自転と公転の周囲がほぼ同じといえるため、常に一定の半面だけを地球に向けていることになるわけです。太陽に対する位置の関係によって新月・上弦・満月・下弦の位相現象(満ち欠け)を生じます。その運行に基づいて太陰暦(自然歴)や太陰太陽暦などの暦が作られ、神話、伝説、詩歌などの素材ともされてきました。
27、32日で自転しながら、約29、53日で地球を一周。このように自転と公転の周期がほぼ同じといえるため、常に一定の半面だけを地球の週期がほぼ同じといえるため、常に一定の反面だけを地球に向けていることになるわけです。太陽に対する位置の関係によって新月・上弦・満月・下弦の位相現象(満ち欠け)を生じます。その運行に、基づいて太陰暦(自然暦)や太陰太陽暦などの暦が作られ、神話、伝説、詩歌などの素材ともされてきました。
古来より日本では「花鳥風月」「雪月花」などと、自然美を代表するものの一つとされ、特に秋の月を指して賞美されることが多いようです。
と、辞書的に月の事を述べるとこんな感じでしょうか。
ところで月は太古から空に浮かんでおりますが現代の私達の生活からはとてもかけ離れた事実があることを想像してみました。
中世以前、恐らくは江戸時代に入る頃までの庶民の生活では夜に灯火が使われることは少なく、そのうち行灯や蝉燭が使われるようになっても、その明るさは知れたものでした。そう、かつて文明の灯りがなきあった時代、月は夜の行動を左右する大事な「照明」であったのです。中世以前の庶民の生活を描いた絵画には夜の情景を描いたものがほとんどないそうで、当時の人々にとって月明かりの持つ意味は計り知れないものであったようです。
それを考えてみると、月の満ち欠けのそれぞれの形にそれぞれ美しい名称が付けられ定着してきたのも、すんなり納得できそうです(別注参照)。このように欠けてもまた満ちる位相現象のため、古来月は「復活と不死の象徴」とされ、人々はつきに畏敬の念を寄せてきました。また、稲作が普及する前(ずっと日本人は米を作ってきたような錯覚がありますが)、畑作中心の我が国では「月には水を支配する神が住む」と信じられていて、月が信仰の中心であったようです。そのうち稲作中心の社会になると、信仰の中心は太陽へと移ります。畑作が水を重視するのに対し、稲作は日照りを重視したためです。
〈月と兎〉
皆さんは月のあの模様、「うさぎが餅をついている」ように見えますか?
私には全くそのようにみえません!いったい誰が言い出したものか到底理解しがたい説だったのですが、どうやらこれは以下の通説が変化してこじつけられたもののようです。
月とうさぎの組み合わせは、童謡にも"うさぎ うさぎ 何見てはねる 十五夜お月さん見てはねる♪"とあるように強い結びつきがあるように思われます。実はうさぎは、月光菩薩の化身であり、月の象徴であると考えられていたのです。
このため「十五夜の晩、その年に初めて刈った稲穂を月の使者である兎が月に持って行く」とか、「月の光の射すところに兎をおくと、お月さまが連れていってしまう」などといった言い伝えがあります。
また、月に兎が住んでいるといいう伝説は、日本だけでなく、中国やインド、ヨーロッパにもあるそうで中国の伝説では「兎が不老長寿の薬である月桂樹の葉を臼でひいている」といわれているそう。
それが日本では「餅をついている」となったんですね。
私には全くそのようにみえません!いったい誰が言い出したものか到底理解しがたい説だったのですが、どうやらこれは以下の通説が変化してこじつけられたもののようです。
月とうさぎの組み合わせは、童謡にも"うさぎ うさぎ 何見てはねる 十五夜お月さん見てはねる♪"とあるように強い結びつきがあるように思われます。実はうさぎは、月光菩薩の化身であり、月の象徴であると考えられていたのです。
このため「十五夜の晩、その年に初めて刈った稲穂を月の使者である兎が月に持って行く」とか、「月の光の射すところに兎をおくと、お月さまが連れていってしまう」などといった言い伝えがあります。
また、月に兎が住んでいるといいう伝説は、日本だけでなく、中国やインド、ヨーロッパにもあるそうで中国の伝説では「兎が不老長寿の薬である月桂樹の葉を臼でひいている」といわれているそう。
それが日本では「餅をついている」となったんですね。
〈月と人との関係〉
英語で月といえばMoonですが、ラテン語だとLuna[lu:na]。ギリシャ神話でのSeleneに当たる月の女神をも表します。
またlunatic[lu:natik]とは名詞で精神異常者や変人、形容詞では(行動など)狂気じみた、ばかげたといった意を有します。それはラテン語「月に影響された」の意で、昔は月から発する霊気に当たると気が狂うとされたことからきています。
このように西洋では、月は人間を狂暴にさせる力があると思われてきました。スティーブンスの"シキル博士とハイド氏"が好例でしょうか。また、アメリカでもリーベ博士という人がその著書の中で、「月の満ち欠けと人間の攻撃性には明らかに相関性が見られる」と述べているそうです。
日本でも昔から「人は満潮時に生まれ干潮時に死ぬ」と言われていますが、今はどうなのでしょう。医学の著しい進歩や生活習慣の多様化などにより、自然のリズムから少々逸脱した感の強い現代人は、昔の人に比べると受ける影響も少なからず変化しているように思われますがいかがでしょう。
とはいえ、女性の月経周期は月の朔望周期の平均29、53日と一致しており、妊婦の出産時期が新月の一日前と満月の三日後に多いとの統計もあるようです。また、人間に限らず海亀とか珊瑚などの産卵も満月の日に一斉にされるといった現象も事実であります。
月と、地球上に住まう私達生物全般とは、何かこう不思議な因果関係で密接に結びついているといえそうです。
またlunatic[lu:natik]とは名詞で精神異常者や変人、形容詞では(行動など)狂気じみた、ばかげたといった意を有します。それはラテン語「月に影響された」の意で、昔は月から発する霊気に当たると気が狂うとされたことからきています。
このように西洋では、月は人間を狂暴にさせる力があると思われてきました。スティーブンスの"シキル博士とハイド氏"が好例でしょうか。また、アメリカでもリーベ博士という人がその著書の中で、「月の満ち欠けと人間の攻撃性には明らかに相関性が見られる」と述べているそうです。
日本でも昔から「人は満潮時に生まれ干潮時に死ぬ」と言われていますが、今はどうなのでしょう。医学の著しい進歩や生活習慣の多様化などにより、自然のリズムから少々逸脱した感の強い現代人は、昔の人に比べると受ける影響も少なからず変化しているように思われますがいかがでしょう。
とはいえ、女性の月経周期は月の朔望周期の平均29、53日と一致しており、妊婦の出産時期が新月の一日前と満月の三日後に多いとの統計もあるようです。また、人間に限らず海亀とか珊瑚などの産卵も満月の日に一斉にされるといった現象も事実であります。
月と、地球上に住まう私達生物全般とは、何かこう不思議な因果関係で密接に結びついているといえそうです。
参考文献
「広辞苑」
「日本語源大辞典」監修 前田富祺(小学館)
「ことばの由来」堀井令衣知著(岩波新書)
「この言葉の語源を言えますか?」日本語倶楽部〔編〕(河出書房新社)
「日本語源大辞典」監修 前田富祺(小学館)
「ことばの由来」堀井令衣知著(岩波新書)
「この言葉の語源を言えますか?」日本語倶楽部〔編〕(河出書房新社)